御斯葉(ミシバ)おろし(通称おみしまさま)は、元天神社より神霊を榊に宿して密かに町の要所に建て、町中を聖なる場とする神事である。大祭8日前(本来は旧暦8月2日)午後2時30分、神主、神職、神社役員、先供(大祭の時、神幸の先に立ってお道具を持ち歩く役、世襲制。)揃って、矢奈比売神社に奉告後、元天神社に向けて出発。嘗ては街道を無言のまま駆け足で北上したのだが、現在では車で行く。
午後3時、元天神社にて祭事始めの儀式が行われる。此処で用いられる 御斯葉(榊)は、この前日、矢奈比売神社境内にて採取されたものである。この時採取された榊で本殿も掃き清められる。
祭事始の夜、即ち大祭8日前午後10時(嘗ては午前2時に行われた)、煙火1発を合図に見付全域で全ての灯火が消され、暗闇の中、「オシ、オシ、オシ」の掛け声と共に、先供、神職、の後に白装束の氏子が続き、全力に近い速さで走り出す。「オシ」という言葉には、地の精霊に位の高い神がお降りになることを告げ、地の精霊を圧服させるという意味がある。後に日本海軍や拓殖大学に伝わった「オス(押忍、押ス)」も同系統の言葉と言われている。
まず、大鳥居で左右2本の門榊を立て、祝詞を奏上し、洗米を撒いて終わる。この間、随行の者は地面に座って伏せる。「マイロー、マイロー」と言い合い、また「オシ、オシ」の掛け声で走り出す。以下合計13個所に於いてこの神事が繰り返される。次の場所への移動は、また全力に近い速さで走る。この間約35分間、見付地区内は消灯する。
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